雑穀はこんなにヘルシー
伝統食や自然食の良さが見直されてきていますよね。
玄米や雑穀も昔ながらの優れた食べ物です。
日本人が白米を常食するようになったのは昭和に入ってからで、それまでは玄米や雑穀入りのご飯が主流だったということは、みなさんも良くご存知のことかと思います。
こうしたかつての主食は栄養バランスがよく、現代人に増えている生活習慣病や肥満などの予防にも有効なのです。
お米はもともと栄養価の高い食品ですが、米を精白して白米にすると各種のビタミンやミネラル、食物繊維などを豊富に含むぬか層や胚芽が取り除かれてしまいます。
しかし米からもみ殻を取っただけの玄米なら、米の栄養素がまるごと摂取できるのです。
あわやきび、ひえといった雑穀も、現代人に不足しがちな栄養素がたっぷり入ったヘルシーな食品なのです。
主食だから毎日食べられて、ヘルシーな食生活の土台ができる!
どんなに栄養価の高い食品でも、たまにしか食べることができなかったら充分な効果を得ることはできません。
しかし主食となる玄米や雑穀なら、毎日ある程度の量を食べられるので、その栄養成分がしっかりと摂取でき、健康的な食生活の基盤がつくれます。
毎日食べる主食に玄米や雑穀を取り入れれば、偏りがちな栄養バランスが整いやすくなり、食べすぎも防げて美容と健康を守ってくれますよ!
おいしい雑穀の種類
玄米・発芽玄米
玄米は稲からもみ殻だけを除き、食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富なぬか層や胚芽を残したお米です。
発芽玄米は玄米を水につけて発芽させたもので、酵素の働きで玄米のぬか層がやわらかくなり、ミネラルが消化吸収されやすくなっているほか、抗酸化力もアップしています。
白米と同様に炊けるので扱いやすいです。
押し麦・丸麦
大麦の外皮を取って精製し、過熱して平たく押しつぶしたのが押し麦で、精製してたてに割ったのが丸麦です。
どちらも食べやすく、消化をよくするために考えられた加工法です。
食物繊維やカルシウムが特に豊富で、適度な歯ごたえがあるのが特徴です。
米に1~2割混ぜて炊くのが一般的で、ぱらりとした炊き上がりになります。
あわ
小さな黄色い粒状をしたイネ科の穀物です。「うるちあわ」と「もちあわ」とがあり、「もちあわ」のほうがポピュラーです。
ビタミンやミネラルに富み、脳の機能を高めたり味覚を正常に保つ亜鉛も豊富です。
たんぱく質も多い栄養価の高い食品で消化吸収にも優れています。
米と一緒に炊くとふわっとした食感が楽しめます。
きび
あわとよく似た小さい黄色い粒状のイネ科の穀物です。「うるちきび」と「もちきび」とがあり、粘りのある「もちきび」のほうがポピュラーで、柔らかくもちもちとした食感が特徴です。
鉄やビタミンB1が多いほか、亜鉛やたんぱく質も豊富です。
ほのかな甘みとこくもあり、粉にしてきび団子やお餅に利用されています。
ひえ
ごく小さなグレーがかった粒状のイネ科の穀物です。
食物繊維をたっぷり含み、たんぱく質や脂質、鉄、亜鉛が多いのも特徴です。
ひえはアレルギーを起こしにくい食品といわれています。
少しほろ苦く、あっさりとした風味があり、米に混ぜて炊いたり、おかゆに加えてもおいしいです。
はと麦
イネ科の植物の実で、粒状のものと細かく砕いたものとがあります。
たんぱく質を豊富に含み、昔から漢方の生薬にもなっています。
血流を促して水分代謝をよくし、肌荒れやニキビを防いだり、利尿作用や鎮痛作用もあるとされます。
独特のプチプチした食感で、米に混ぜたり、お茶としても飲まれています。
そば米
そばの実から堅くて黒い殻を取り除いたものです。
通常そばは粉にひいて麺にされますが、昔から粒のまま穀物としても食べられています。
食物繊維やカルシウム、ビタミンB群が多く、ビタミンPの一種のルチンも豊富です。
ルチンは毛細血管を丈夫にして、血液の流れをスムーズにしたり、脳卒中などの血管障害を予防します。
そば米は香ばしい風味があって、おかゆや雑炊にするとおいしいです。
アマランサス・キヌア
どちらも中南米で古代から栽培されてきたもので、その栄養価の高さから近年注目されている穀物です。
食物繊維やビタミン、ミネラル、たんぱく質が豊富で、アマランサスは食物繊維が白米の15倍!カルシウムは32倍!鉄は12倍!など驚異的な多さです。
米や麦などにアレルギーがある人用の代替食品としても利用されています。
米に混ぜて炊いたり、クッキーやケーキなどにも利用できます。
黒米・赤米
どちらも古代米と呼ばれるもので、玄米の果皮に含まれる色素が黒いのが黒米、赤いのが赤米です。
たんぱく質やビタミン、ミネラルが多く、黒や赤の色素には抗酸化成分であるポリフェノールも含まれています。
滋養強壮効果の高い不老長寿の米として、薬膳料理にも使われています。
やや堅めなので白米などとブレンドしたほうが食べやすく、炊く前に1時間以上浸水させるのがおいしく炊くコツです。
雑穀の豊富な栄養成分
食物繊維
~便秘改善やコレステロールの低下、有害物質の排出に働く~
食物繊維の効用は便通をよくするだけではありません。
コレステロール値を低下させたり、腸からの糖質の吸収を妨げる働きがあり、脂質や糖質の摂取過剰になりやすい現代の食生活で大きな健康効果を発揮します。
さらに腸内の発ガン物質などの有害物質を吸着して便とともに排出する作用もあります。
また食物繊維を多く含む穀物はよく噛む必要があるので、早食いを防止して少量でも満腹感が得られ、腹もちもいいのでダイエットの強い見方です。
押し麦は19.2倍
アマランサスは14.8倍
ひえは8.6倍
ビタミンE
~新陳代謝を高めて、老化を防ぐ「若返り」ビタミン~
「若返りのビタミン」と呼ばれるビタミンEには、血液の循環をよくしたり、ホルモンの分泌を促して新陳代謝を高める働きがあります。
女性に多い冷え性も血行が良くなることで改善されます。
脂溶性のビタミンEは脂質を酸化から守る抗酸化パワーが強く老化予防の効果が大きく、脂質の酸化から起こる肌のシワやシミも防いでくれます。
アマランサスは11.5倍
玄米は6.5倍
あわは4倍
鉄
~貧血を防いで、疲れにくく活力のある体をつくる~
若い女性に多い貧血のほとんどは「鉄欠乏性貧血」です。
血液中の赤血球に含まれる鉄は酸素と結びついて、肺から取り込んだ酸素を全身に運搬する役割を持っています。
その鉄が欠乏すると体のすみずみまで酸素が行き渡らず貧血を起こしてしまうのです。
無理なダイエットも鉄不足を招きがちなので、貧血の症状がなくても、貧血の一歩手前の潜在性鉄欠乏の人が多いといわれているので、主食で鉄が補えるのはうれしいですよね。
アマランサスは11.8倍
あわは6倍
玄米・きびは2.6倍
カルシウム
~丈夫な骨をつくったり、精神を安定させてイライラを防ぐ~
カルシウムは骨や歯の重要な構成成分です。
女性は更年期以降に骨の生成を促し破壊を抑える女性ホルモンの分泌が減少するために、骨がもろくなる骨粗しょう症になりやすいことが知られています。
もともと日本人はカルシウムが不足しがちな傾向があるとか!
特に女性は将来に備えて若いうちからしっかり意識して摂っておきたい栄養素です。
カルシウムには神経の緊張や興奮をやわらげる作用もあって、不足するとイライラしやすくなったり不眠を招いたりもするのです。
アマランサスは32倍
押し麦は3.4倍
あわは2.8倍
ビタミンB群
~疲労回復をサポート!また美肌キープにも役立つ~
ビタミンB1は糖質を分解してエネルギーをつくるのに欠かせない栄養素です。
ビタミンB2も脂質をはじめ糖質やたんぱく質等の代謝に深くかかわっています。
そのためビタミンB群が不十分だとエネルギー補給がスムーズにいかずに疲れやすくなったり、神経が正常に機能しないために精神的に不安定になったりしてしまいます。
またビタミンB2は皮膚や粘膜、髪を健康に保ったり、皮脂をコントロールする働きをしているので、美容面からも重要なのです。
不足すると肌荒れやニキビ、髪が傷んだりと悪影響なので要注意です!
ビタミンB群は体内にとどまる時間が短く、こまめに摂る必要があるので、食事ごとに主食で補えれば安心ですね!
玄米・そば米は5倍
あわは2.5倍
きびは1.9倍
アマランサスは7倍
そば米は5倍
あわは3.5倍
おいしく食べる基礎知識
「玄米や雑穀が体にいいことは分かったけど、どうやって食べたらいいの?」
「炊き方は難しくないの?」
と考えちゃいますよね。
ここでは雑穀の取り扱い方などをご紹介したいと思います。
玄米・雑穀の上手な炊き方
洗い方
玄米や雑穀は洗わないで使える無洗タイプのものもありますが、とくに表示のない場合は炊く前に洗います。
力を入れてとぐ必要はなく、2~3回水を替えながら軽く洗う程度で大丈夫です。
浮いてきたもみ殻などは取り除きましょう。
あわやひえなどの粒の細かい雑穀は、流してしまわないように目の細かいざるや大きめの茶こしを使って洗うといいですよ。
白米と混ぜて炊く場合は、白米とは別に洗うようにします。
炊飯器を使って
白米と混ぜて炊くときは、雑穀は米の1~2割加えるのが基本です。
炊飯器に洗った米と雑穀を入れて、商品に水の量が指定されていない場合の水加減は、米と雑穀の総量の2割増しにするとうまく炊けます。
水を加えたあと白米と同様30分~1時間ほど浸水させましょう。
黒米や赤米はやや長めに少なくとも1時間程度、玄米は5~6時間浸水させる必要があります。
(※玄米炊き機能のある炊飯器を使う場合や、普通に炊ける玄米ならば長時間浸水の必要はありません。)
浸水させた後は、炊飯器で通常通りに炊き、充分蒸らしてから大きく混ぜましょう。
電子レンジを使って
あわやきび、ひえなどを米に混ぜずに単独で料理などに使う場合は、電子レンジを使うと便利です。
炊き方は、耐熱性の器に洗った雑穀1カップに対して水1.2カップを入れて、ラップをふんわりと余裕を持たせてかけて、レンジ強で約10分ほど加熱し、ラップをかけたまま10分ほど蒸らしてから大きくかき混ぜます。
量が多いと均一に日が通りにくくなるので、1回に作る量は1カップまでにしたほうがいいようです。
近年の雑穀人気でそのまま白米に混ぜて炊ける、雑穀ミックスも数多く市販されていますよね。
商品によりブレンドされた穀物は様々で、五穀ミックスや十六穀ミックスや、ごまやくこの実、大豆などを加えたものなど彩もきれいです。
あれこれ買い揃えなくてもいろいろな雑穀が取り入れられるし、水洗いが不要のものがほとんどで使い勝手も申し分ありません。
小分けにされたスティックタイプの商品なら軽量も不要なので、袋に表示された分量を目安に、手軽に白米に混ぜて利用しましょう♪
雑穀の豆知識
上手な保存方法
玄米や雑穀をおいしく食べるには、保存法にも気をつけたいものです。
基本的には風通しがよく、湿気のない冷暗所で保存するようにしましょう。
開封したものは密閉容器に入れて冷蔵庫しまうのがいいようです。
賞味期限は表示してあるものを参考にしますが、長くおけばおくほど風味や栄養価が低下してしまうので、なるべく早く使い切ることが大切です。
発芽玄米はとくに保存できる期間が短いので、開封後は冷蔵庫に入れて早く使い切るようにしましょう。
炊いた後保温しておくと風味が・・・
玄米や雑穀は風味が落ちるのが早いので、1回に食べきれないときは冷凍保存するのがおすすめです。
温かいうちに1食分ずつラップに包み、冷ましてから冷凍庫でフリージングしましょう。
なるべく短時間で冷凍できるように、薄く平らな状態にして包むのがコツです。
食べるときは電子レンジで温めればいいので、冷凍しておくと少量を使いたい場合も便利です。
冷凍してもなるべく早く、1週間以内くらいを目安に食べるようにしましょう。
どんな料理に合うの?
ご飯に混ぜるほかにも、スープの具にしたりサラダに加えたりしても、いつものレシピに変化がついて楽しいですよね。
雑炊やおかゆ、リゾットにも相性はバッチリです。
玄米や発芽玄米、押し麦などは白米よりもぱらりとした炊き上がりになるので、チャーハンやカレー、オムライスなどにしてもおいしくいただけます。
きびやひえ、あわなどは餃子やハンバーグの種に混ぜたり、だんごやぜんざいなどのおやつに使うのもおいしいそうです。
毎日食べても大丈夫
栄養豊富な玄米・雑穀は、毎日でも食べたい食品です。
いろいろな種類があるので毎回白米にブレンドするものを替えたり、調理法を変えたりすれば食べ飽きることもないと思います。
ただし食物繊維が多いので、とくに玄米などはいきなりたくさん食べるとお腹がゴロゴロ…になっちゃうかもしれません。
心配な場合は最初は白米に加えたりする量を少量にして、お腹を慣らしていくといいですよ。