中華料理のコースと食べ方
中国料理は基本的には箸でいただきますが、殻をむいたり包んだりと手を使う料理もあります。
中国料理のコースの流れと、それぞれおの料理の食べ方をまとめています。
前菜
くらげ、棒々鶏、焼豚、野菜など数種類の冷製料理を盛り合わせてあるのが一般的です。
好きなものだけをたくさん取るのはNGです。
盛られているものを、すべて均等に取り分けるようにします。
突き出し
中国料理でも料理の前に突き出し(お通し)が出ることがあります。
お酒を頼むとザーサイやピーナッツなどが盛られた小皿が一緒にでてきたり、あらかじめテーブルに置かれていることもあります。
食事の間に自由に食べてかまいません。
湯(タン)
フカフレや干しあわびといった高級食材を使ったスープは前菜の次に出ます。
卵や野菜などの軽いスープは主食の前に出ます。
食べ方
1、大鍋や大きいボウルで出てきます。目下の人が全員分を取り分けて回してもいいですし、お店の人に取り分けを頼んでもかまいません。
2、器をテーブルに置いたまま、ちりれんげで具とスープをすくって飲みます。大きい具は箸を使ってOKです。
3、左手は器に添えます。こぼしそうだからと背中を丸めて飲むのはNGです。姿勢を正して飲みます。
主菜
肉、魚介、野菜などの料理が味付けや調理法が重ならないようにして4~5品出ます。
お箸で食べづらい料理は手をつかっていただいてもかまいません。
手が汚れる料理にはフィンガーボウルが出てきます。
中国式は油分やにおいを落とすために、プーアール茶などの中国茶が入っていることがありますので、飲みものと間違えて、飲まないようにしてくださいね。
西洋式と同様に、片手でずつ指先を洗いナプキンで拭きます。
殻つきのえびなどの料理が出るときは、殻入れようの器が添えられることがあります。
その場合は殻などをこの器に入れます。
ふたりで一つの器を使うこともあります。
主食
ご飯ものや麺類など主食も大皿や大鉢で出るので、取り分けていただきます。
麺類は、たいていお店の人が取り分けてくれます。
麺類
汁のある麺はちりれんげで受けながら食べ、汁を飲むときは右手にちりれんげを持ち替えて飲みます。
焼きそばはそのまま箸で食べます。
炒飯
右手にちりれんげを持って食べます。
器は左手で持ってもかまいません。
お粥も同様です。
ご飯
白いご飯は日本のご飯と同じように、左手で器を持って箸で食べます。
点心
点心とはデザートのことです。
しかし甘いものだけではなく、春巻きやシュマイなども点心と呼ばれます。
春巻き
左手で押さえ箸で切って食べますが、箸で切れないときは無理をせず噛み切ってもかまいません。
中の具が熱いので注意します。
中華まんじゅう
手で真ん中から割り食べやすい大きさにちぎっていただきます。
これも熱々の場合があるので、持つときに注意してください。
杏仁豆腐
甘い点心代表的なデザートです。
添えられているスプーンですくっていただきます。
プリンやゼリーも同じように、スプーンを使って食べます。
ライチ
まず側を半分ほどむき、口元で中身を押し出して食べます。
種があるときは、手で受けて出します。
食べ方の注意点
中国料理は箸を使って食べますが、日本式のマナーとは違う点があります。
日本料理と大きく違うのは、器を持たないで食べる点です。
取り皿は小さいため、つい持って食べてしまわないように注意しましょう。
箸の使い方は、日本式のマナーを覚えておけば大丈夫です。
器を持たない
取り皿はテーブルに置いたままで箸でいただきます。
左手を皿に添えて食べてもかまいません。
ちりれんげの持ち方
持ち手のところにある溝に人差し指をのせて持ちます。
スープはもちろん、炒飯などを食べたり、麺を受けたりするときにも使います。
取り皿
取り皿は一品で一枚が基本です。
料理の味が混ざらないよう、取り皿は一品ごとに新しいものを使います。
回転台の上に置いてあるので、各自が取り分けるときに新しい皿を使います。
ご飯の食べ方
炒飯や白いご飯などは小鉢に取り分けられるので、器を持っていただきます。
炒飯はパラパラしているので、ちりれんげで食べます。
スープや麺類
スープや麺は小鉢に取り分けられますが、器を持たずに食べます。
麺の場合はちりれんげを左手に持ち、麺を受けながら食べます。
取り皿がなくなったら
ひとつの料理に一枚の取り皿を使うのが基本ですが、取り皿がなくなったら遠慮せずに、お店の人に頼んで持ってきてもらいます。
卓上調味料の使い方
日本料理や西洋料理では、出てきた料理に調味料をふるのはマナー違反ですが、中国料理では各自が好みの味付けで食べるのが普通です。
何をどの味でという決まりはないので、卓上調味料を使って好きなように味付けできます。
もちろん味付けをしないで食べるのもOKです。
卓上には酢、しょうゆ、ラー油、からしがでているのが一般的です。
回転台にのっているので、自分の前に回してから使います。
中国茶の楽しみ方
中国茶は種類が豊富で日本でも最近はいろいろな中国茶をそろえているお店が増えてきています。
中国料理ではお酒を飲まない人は、最初からお茶を頼んでもかまいません。
中国茶の種類
料理と一緒に、または料理のあとに中国茶を味わうのは楽しみのひとつでもあります。
中国茶には油を洗い流す効果があるともいわれています。
中国茶の種類と特徴
緑茶
不発酵茶で、日本の緑茶に似ているさわやかな味わいです。
白茶
軽く発酵させるお茶で、ソフトな味わいです。生産量が少ない希少価値の高い高級茶です。
黄茶
弱発酵させたあとに、後発酵させる独特の製法のお茶です。白茶同様に高級茶です。
青茶
半発酵させたお茶で、烏龍茶や鉄観音茶など日本でもおなじみのお茶です。
紅茶
完全に発酵させたお茶で、ややスモーキーな香りがします。キームンが有名です。
黒茶
後発酵させて熟成させたお茶で、プーアール茶が代表格です。
花茶
花の香りをつけたり、花そのものが入ったお茶です。茉莉花(ジャスミン)茶が有名です。
中国茶の飲み方
中国茶はたいてい大きな急須で出てきます。
何杯でもお代わり自由なので、急須を回転台にのせて自分でついて飲みます。
自分のぶんだけでなく、両隣の人にもついであげてもかまいません。
お代わりのサイン
お茶がなくなったら、ふたをずらすかひっくり返してのせておきます。
こうしておくとわざわざ頼まなくても、お店の人が気がついてお代わりを持ってきてくれます。
もちろんお店の人に直接頼んでもかまいません。
ふた付きの茶碗での飲み方
中国茶はふた付きの茶碗で出される場合もあります。
中に茶葉も入っているので、日本茶のようにふたを取って飲むと、茶葉が口に入ってきます。
受け皿ごと取り上げて、ふたをずらしてその隙間から飲むのが正式なマナーです。
お湯のポットがでていれば、自由にお代わりができます。
左手で受け皿ごと持ち(熱くなければ茶碗を持つ)、右手でふたを少しずらします。
ふたで茶葉を押さえるようにしながら、その隙間から飲みます。
お代わりするときは、ふたを開けポットからお湯を注ぎ、ふたをして少し蒸らしてから飲みます。
こんなときどうする?
中国料理のマナーは、比較的おおらかです。
しかし、周りの人を不快にさせたり、迷惑をかけるふるまいはNG。
ターンテーブルを回すときなど、周囲への気配りは大切です。
回転台を勝手に回す
ほかの人が料理を取り分けているときに、回転台を回してはいけません。
回転台をまわすときは、まわりをよく見て確認することを忘れずに。
サーバーをはみ出して置く
サーバーが飛び出していると、回転台を回したときに、お酒の瓶やグラスなどに引っかかって倒してしまうこともあるので注意してください。
また、グラスは取りざらの近くに寄せておき、回転台からサーバーなどがはみ出していたとしても、引っかからないように気をつけます。
ビール瓶や徳利なども同様です。
食べ終わった器
食べ終わった器が回転台にのっているのは見苦しいですし、自分の器がぐるぐる回っているのは恥ずかしいことです。
無意識で置かないように気をつけます。
立って取り分ける
遠くの料理を立って取り分けずに、回転台を回して自分の前に寄せてから取り分けましょう。
取り分けた料理を残す
満腹になってきたら取り分ける量を調節して、食べたい人に譲るのがマナーです。
取り分けておいて残すのはよくありません。
料理の皿を動かす
大皿は手に持って移動するものではありません。
大皿が遠いときは、自分の取り皿を近づけて取り分けます。
スープを器から飲む
スープの器を手に持つのはNGです。
口のつけて飲むものではないので、ちりれんげを使って飲みます。
音を立てて食べる
日本料理と違って音を立てて麺類を食べるのはNGです。
麺をすすり上げなくていいように、ちりれんげを上手に使います。
中国料理によく合うのは、やはり中国のお酒です。
日本でよく知られている中国酒といえば「紹興酒」ですが、そのほかにもたくさんの種類があります。
中国酒の種類と特徴
黄酒
米、麦、とうもろこしなどを使った醸造酒で、濃い黄色をしています。アルコール度数は15~20度程度です。老酒や紹興酒など日本人に一番親しまれているお酒です。
白酒
とうもろこし、きびなどを原料とした蒸留酒で無色透明で、アルコール度数は30~60度と高めですが、長期熟成させているので飲み口はまろやかです。
果酒
果実酒のことで、キンモクセイを漬け込んだ「桂香陳酒」が有名です。杏酒や梅酒、ワインもありどれも甘口で、アルコール度数が12~16度と低めです。
薬酒
黄酒、白酒、果酒に薬草や漢方薬を漬け込んだお酒で、滋養強壮などさまざまな効能があります。
ピイチュウ
中国のビールのことで、青島ビール、北京ビール、上海ビールがあります。
お酌のしかたと受け方
瓶の場合
ラベルを上にして瓶の中央を右手で持ち、左手を添えてつぎます。
徳利の場合
持ち手があるものは持ち手を右手で持ち、左手を添えてつぎます。
ふたが落ちそうなものはふたを押さえます。
お酌の受け方
グラスや杯を右手で持ち、左手を底に添えて受けます。
日本式のマナーと同様に、飲むときも左手を添えます。
乾杯
グラスや杯を持って持ち、「乾杯」と言って目の高さまで持ち上げます。
飲むときは左手を添えて飲みます。
中国では食事の途中にも頻繁に乾杯を繰り返す習慣があります。
グラスや杯が小さいので、乾杯のつど飲み干すのがマナーとされています。
お酒が飲めない人は
最初から中国茶を注文してもかまいません。
中国ではお茶を飲みながら食事をするのは当たり前のことなので、マナー違反ではありません。
もしくはソフトドリンクを頼みます。
黄酒の飲み方
黄酒の代表的なお酒の紹興酒には、常温やロック、お燗でといろいろな飲み方があります。
温めた紹興酒と一緒に氷砂糖が出てくるのは、「口に合わないときに調整して」という意味なので、甘くした紹興酒がよほど好きでない限りは、いきなり砂糖を入れないようにします。