部屋・客間での作法とマナー

部屋・客間での作法とマナーのポイント解説

部屋に通されたら

客間に案内されたら、すすめられた場所に座ります。
上座と下座があり、本来下座に座って待つことがよいとされていますが、家の人が進める場所に素直に座るのがいちばんです。
先方からすすめられてもいないのに勝手に上座に座ることは、マナー違反になりますので、あらかじめ席次を覚えておいた方がいいかと思います。

和室の場合

和室で上座を決める目安は、床の間の位置と出入り口の位置です。
基本的には、出入り口からいちばん遠い床の間の前の席が上座になります。

w-a
出入り口からいちばん遠い、床の間の前の席が上座になります。

しかし床の間の前の席でも、近くに出入り口がある場合には下座となり、いちばん奥の席が上座になります。

w-b
床の間の前でも近くに出入り口がある場合は、いちばん奥の席が上座になります。

洋室の場合

洋室では、基本的に長椅子が格上の席で、一人用の肘掛け椅子は下座となります。
つまり長椅子で出入り口からいちばん遠い席が上座ということになります。

yositu
洋室では長椅子で出入り口からいちばん遠い席が上座です。

客間での作法

あいさつ

正式なあいさつは客間できちんと向かい合って行います。
初めて会う人なら、「はじめまして。○○と申します」
何度目かの人なら、「先日はお世話になりました」
などと、前にあったときのことを付け加えるといいと思います。

手土産を渡すとき

あいさつを終えたら、次に手土産を渡します。
持参したふろしきや紙袋から、品物を取り出して相手のほうへ向けて、
「ほんの気持ちばかりですが」や「お口に合うとよろしいのですが」
などと、言葉を添えてから、品物を両手で渡します。
よく「つまらないものですが」という言い方がありますが、かえって失礼な印象を与えてしまうことがあるので、やめておいたほうが無難です。

洋室での場合は、立ったままであいさつをしてから、紙袋(ふろしき)から手土産を取り出し、紙袋をいったんわきに置き、品物の正面を相手に向けるようにして両手で渡します。

美しいお辞儀

心のこもった美しいお辞儀ができる人は、相手によりよい印象を残します。
とくに目上の人には、自分の方から先に体を倒して、相手よりも後から体を起こすようにすると丁寧です。

立ったままのお辞儀

立ち姿

背筋を伸ばしてあごを引き、目線を水平よりも少し下にします。
手は自然に下ろして指先をそろえて、足はつま先をきちんとそろえて立ちます。

軽い立礼

腰から体をやや前に傾けて、手を少し前に寄せるようにします。
あいさつをしながら会話を続けるときなどにはこの姿勢で行います。

ていねいな立礼

手が膝頭に届くくらい上体を前に傾けます。
目上の人への正式なあいさつなどに深くゆっくりと行います。

座ってのお辞儀

座り姿(正座)

背筋を伸ばし、重心は足の付け根辺りに置きます。
足の親指はつけるか重ねるかどちらかで、手はももの中央からやや手前に置きます。

軽い座礼

両手を膝前に下ろして指先だけを畳につけ、上体を少し傾けます。
このとき手は膝にもたせかけ、手首は折らずに行います。

普通の座礼

軽い座礼から、さらに手首は膝から離さずに、両肘を開きながら体を前に傾けます。
戻すときは体を先に手はあとで戻します。

ていねいな座礼

普通の座礼の形から、さらに体を前に曲げて、手先を額の下辺りまで前に出します。
頭から背中の線をまっすぐにすることを意識します。

座布団使い

座布団へはにじって上がり下がりをするのが基本です。
あいさつはかならず座布団を外してからにします。
座布団を勝手に動かしたり、裏返ししたりするのはマナー違反です。

座布団に座るとき

正座の姿勢から両手で体を支えて、いったん膝を座布団の上に乗せます。さらににじって中央に座ります。

座布団から立ち上がるとき

体を後ろにずらして、つま先をいったん座布団から外して畳につけます。
つま先を立ててかかとの上にお尻をのせます。
座布団に膝をつく形から立ち上がります。(足元の乱れないように気をつけます)

座布団のここに注意!

座布団を足で踏みつけるのはマナー違反です。
座布団に座ったり外したりするときに、ついやってしまいがちなので気をつけてください。

和室でのふるまい

和室でのふるまいで避けなければいけないことは、部屋の敷居を踏みつけることと、畳のへりを踏むことです。
敷居と畳のへりは、家の中でもとくに痛みやすい場所なので、これらの作法は、昔の人が家を大切にしたいという思いから生まれたものです。
訪問のさいには気をつけて、できるだけよけて歩くようにしてください。

お茶とお菓子をいただくとき

お茶を出されて「どうぞ」とすすめられたら、熱いうちにいただきます。
遠慮して冷めたころに飲むのでは、かえって失礼です。
お菓子をすすめられたら、できるだけ残さないようにいただきますが、どうしても食べきれないときは、ケーキ類以外はティッシュペーパーなどにさりげなく包んで持ち帰ってもかまいません。

お茶のいただき方

左手を茶碗に添えて右手で蓋を取り、茶碗の縁につけたままで右に90度回します。いったん止めてしずくを内側に落とします。
蓋を返して、左手を添えながら茶碗の右側に置きます。
お茶を飲み終えたら、ふたは元通りに茶碗にかぶせておきます。

お菓子のいただき方

お菓子は、左側から一口大に切っていただきます。
食べにくいときは、菓子皿を左手で胸の高さに持ち上げるようにします。

おいとまするとき

客間であいさつをしてから玄関に向かいます。
使ったスリッパは、向きを変えて玄関の隅にそろえて置きます。
重ねたり、スリッパ掛けに戻したりするのはやりすぎです。
コートを着るときは、「ここで着させていただいていいですか?」と、ひと言相手に断ってからにします。
ドアを出て、そのまま振り向きもせずに立ち去るのはちょっと寂しいですよね。
家の人が見送ってくれているかもしれないので、門を出たら一度振り返って、お見送りにこたえてかるく一礼してから立ち去ります。

関連コンテンツ